はじめに

こんにちは!今日は、「政権」や「体制」を意味する英単語「regime」についてご紹介します。この単語は、特に政治や社会の文脈で頻繁に使われます。BBCが2025年6月25日に報じた、ロサンゼルスに暮らすイラン系アメリカ人コミュニティ「テヘランゲルス」では、イランの「政権交代」を巡る激しい議論が繰り広げられています。トランプ元大統領の政策を支持する声がある一方で、アメリカの介入に反対する声も聞かれ、コミュニティ内の複雑な心情を浮き彫りにしているというに関する記事で「regime」がどのように使われているか、具体例を交えて解説していきます。

regimeの意味

regime(政権)」とは、主に特定の国家や組織を統治するシステムや体制、あるいはその統治を行う政府そのものを指します。この言葉は、政治的な状況を説明する際によく用いられます。例えば、「その政権は強権的だ(The regime is authoritarian.)」や、「政権交代を求める声が高まっている(Calls for regime change are growing.)」といった文脈で使われます。

実際に使用されている場面

さて、英単語「regime」が使われているニュース記事を見ていきましょう。BBCが2025年6月25日に報じた「Make Iran Great Again? ‘Tehrangeles’ community in LA reflects on US strikes」という記事の中に登場しました。

 

A woman in a “Make America Great Again” hat leads a chant for “regime change” in Iran.

日本語訳: 「Make America Great Again」の帽子をかぶった女性が、イランでの「政権交代」を求めるシュプレヒコールを主導しています。

この記事では下記のことが書かれています。アメリカのロサンゼルス、特に「テヘランゲルス」と呼ばれるウェストLA地区では、多くのイラン系アメリカ人が暮らしています。この地域では、イランに関する政治的なデモがよく行われています。中でも注目すべきは、イランの「政権交代」を求める声が上がっていることです。彼らは、アメリカのドナルド・トランプ元大統領が掲げた「Make America Great Again (MAGA)」の赤い帽子をかぶり、トランプ氏の政策を支持しています。

デモの様子は活気に満ちていて、参加者たちはイラン、イスラエル、アメリカの国旗を振り、ペルシャ音楽に合わせて踊っています。交通渋滞の中で車のクラクションが鳴り響くのは、デモへの賛同と、同時に交通の乱れへの不満の両方を示しています。このデモは、トランプ元大統領が移民取り締まりに対する抗議活動中に派遣した、武装したアメリカ海兵隊の監視のもとで行われました。

多くのイラン系アメリカ人は、トランプ元大統領がイランの核施設を空爆した決定を強く支持しています。例えば、50年前にイランを離れたビタ・アシュラフィさんは、「トランプは全て正しかった」という帽子をかぶり、「46年以上も続くイランの暴政と独裁に終止符を打つため、トランプ大統領の決定を全面的に支持します」と話しています。

しかし、この問題に対して誰もが同じ意見を持っているわけではありません。イランの強硬派の指導者たちが「大いなるサタン」(悪魔を意味する言葉で、主にアメリカを指す)と呼ぶアメリカが介入することで、かえってイランの指導層が勢いづいてしまうと考える人々もいます。イランは常に核開発は平和目的だと主張していますが、トランプ元大統領はイランが核爆弾の開発に近づいているため、攻撃が必要だとしました。

イラン国内では電話やインターネットが遮断され、故郷の家族や友人と連絡が取れない中、イラン系アメリカ人たちは、自分たちが暮らすアメリカがイランにどう対応すべきかについて強い思いを抱いています。「彼らと交渉してはいけません。彼らはまた世界を恐怖に陥れるでしょう」と語るのは、ファルザン・セイエドさんです。彼は、トランプ氏がSNSで広めた「Make Iran Great Again (MIGA)」の帽子をかぶり、イラン革命前のライオンと太陽の紋章が入ったネクタイを締めていました。セイエドさんは、トランプ元大統領は政権交代を支持すべきだが、あまり深く介入すべきではないと考えています。

また、セイエドさんは「国民が選択しなければならない」としつつも、アメリカに亡命中のレザ・パフラヴィー元皇太子がイランの指導者に選ばれることを望んでいます。彼は、南カリフォルニアに住むイラン系アメリカ人の家族は、イランを逃れて多くのものを失ったが、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、バハイ教、ゾロアスター教など、宗教に関わらず「ウェストLAから一つの声」としてイスラム共和国に反対していると語っています。

一方で、イラン系アメリカ人コミュニティに「一つの声」があるという考えに異議を唱える人も少なくありません。ウェストLAのカフェやレストランでは、イランの未来について活発な議論が交わされています。かつてイランで活動家として投獄された経験を持つルーヅベー・ファラハニプールさんは、アメリカの介入はイランを不安定な未来に追い込むと懸念しています。「その仕事はイランの人々自身がやるべきです」と彼は言います。以前トランプ元大統領に投票したファラハニプールさんも、今は失望しており、ミサイルではなく、ピンポイントな制裁を支持し、自分の納税者のお金がイランへの攻撃に使われることを望んでいません。

ファラハニプールさんと長年の友人であるエルハム・ヤグビアンさんの間では、この問題で意見の対立が生じています。ヤグビアンさんは、イランへの軍事行動は支持していなかったものの、それが起こった今、イラン国内の人々が変化を求める機会になるかもしれないと述べています。「これがイラン国民が立ち上がり、変化を起こす唯一の機会です」と、彼女は希望を語っています。

イラン系アメリカ人の多くは、故郷の家族や友人のことを心配しています。トランプ元大統領が今月初めに「全員避難せよ」とテヘランに警告した際には、多くのイラン人が交通渋滞に巻き込まれ、戦争の激化を恐れる映像が世界中で流れました。しかし、女優のメアリー・アピックさんは、その中で人々が互いに助け合い、連帯感を見せていたことに心を打たれたと言います。「この政権は去らなければなりません。人々はもううんざりしています」と語っています。

regimeの語源

regime」の語源は、ラテン語の「regere」にあります。「regere」は「導く」「指導する」「支配する」といった意味を持ちます。この「regere」が、英語の「regime」へと発展し、今日の「政権」「統治体制」という意味を持つようになりました。つまり、「regime」は「導かれるもの」「支配されるもの」というニュアンスを含んでいるのです。

同じ語源を共有する単語

regere」(導く、指導する)という語源を共有する単語はいくつかあります。

例えば、「rail(手すり、レール)」は、もともと「案内するもの」「道筋」といった意味合いから派生しました。これは、線路が列車を導く役割を果たすことから、「regere」の「導く」という意味が関連しています。例文としては、「手すりにつかまってください(Please hold onto the rail.)」が挙げられます。

次に、「reign(統治、支配)」は、「regere」が直接的に「統治する」という意味で用いられた単語です。「reign」は君主の統治期間や支配そのものを指し、まさに「指導する」「支配する」という語源の意味を色濃く残しています。例えば、「女王の統治期間は長かった(The queen’s reign was long.)」のように使われます。

さらに、「region(地域)」もこの語源とつながりがあります。「region」は、かつて「統治される領域」や「支配下の地域」という意味合いで使われていました。「regere」の「支配する」という概念が、ある一定の範囲を指す「地域」という言葉へと派生していったのです。例文としては、「この地域は美しい景観で知られている(This region is known for its beautiful scenery.)」があります。

さいごに

今回は、「regime(政権)」の意味と語源について深掘りしました。この単語が持つ「導く」「支配する」というルーツが、現在の「政権」や「体制」という意味にどうつながっているか、理解を深めることができたのではないでしょうか。政治的なニュースに触れる際も、ぜひこの知識を活かしてみてください。

それでは、また次回のブログでお会いしましょう!

参考文献

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