はじめに

こんにちは。今回は、「炉」や「火炉」を意味する英単語「 furnace 」について解説します。この単語は、特に環境や産業の問題を語る際に頻繁に登場します。この記事では、実際にこの単語が使われた英国からインドへ輸出された廃タイヤの多くが、違法な炉で処理され、深刻な健康被害と環境汚染を引き起こしているというニュースで使われた文脈を紹介しながら、その語源や関連単語についても詳しく見ていきましょう。

furnaceの意味

furnace(炉) 」とは、物を加熱したり燃やすための装置を指します。工業の場面や、環境問題に関連して話題になることが多い単語です。例えば、「彼らはタイヤを炉で燃やした(They burned the tyres in a furnace.)」や、「その施設には高性能の炉が備わっている(The facility is equipped with high-performance furnaces.)」といった形で使われます。

実際に使用されている場面

実際に、この単語が使われた記事「Millions of UK tyres meant for recycling sent to furnaces in India」では、廃棄されたタイヤがインドで炉を使って処理されている問題について言及されています。

 

Millions of tyres being sent from the UK to India for recycling are actually being “cooked” in makeshift furnaces, causing serious health problems and huge environmental damage.

日本語訳: 英国からインドにリサイクル目的で送られるタイヤの多くが、即席の炉で「調理」され、深刻な健康問題や環境への大きな被害を引き起こしている。

この記事では下記のことが書かれています。英国で廃棄されるタイヤは年間約5000万本にのぼり、その半数がリサイクルの名目でインドへ輸出されています。しかし、実際にはその多くがインド国内の違法な施設で処理され、深刻な環境汚染や健康被害を引き起こしていることが明らかになりました。

本来、廃タイヤは適正にリサイクルされるべきものですが、インドに輸出されたタイヤの約70%が、粗末な設備で高温処理される「熱分解(パイロリシス)」という方法で処理されています。このプロセスではタイヤを約500℃の無酸素状態で加熱し、スチールやオイル、カーボンブラックと呼ばれる副産物を抽出します。しかし、多くの熱分解施設は手作りのような設備で運営され、有害な化学物質やガスを放出しているのが実情です。

この問題を追及するため、英国の業界関係者とジャーナリストが協力し、追跡装置を埋め込んだタイヤをインドへ輸出しました。タイヤは英国を出発し、約8週間の航海の後、インドの港に到着。その後、800マイル(約1300km)陸送され、小さな村の近くにある違法な処理施設へ運ばれました。ドローンによる映像では、施設の敷地内に山積みにされたタイヤが、次々と炉に投げ込まれる様子が確認されました。

こうした施設の近隣住民は、持続的な咳や目の痛み、呼吸器系の問題を訴えています。また、科学者によると、これらの施設で働く労働者は、長期間有害物質にさらされることで、呼吸器疾患、心血管疾患、神経系の病気、さらにはがんのリスクにさらされる可能性があると指摘しています。

実際、インド・ワダ地区にある施設では今年1月に爆発事故が発生し、女性2人と子ども2人が亡くなる悲劇が起きました。この施設でも欧州から輸入されたタイヤが処理されていたとみられています。事故を受け、インド当局は7カ所の熱分解施設を閉鎖しましたが、インド国内には約2000もの同様の施設が存在し、その半数が無許可で運営されているとされています。

このような違法な廃タイヤ処理が続く背景には、英国の業者が経済的な理由でインドへ輸出している実態があります。英国で適切に処理するには高額な設備投資が必要であるため、より安価な方法としてインドへの輸出が選ばれているのです。しかし、輸出業者の多くは、インドで何が行われているかを把握しながらも、「自分には責任がない」と主張しています。

英国政府は廃タイヤの輸出に対する規制を強化するとしていますが、現在の制度では「T8免除」と呼ばれる特例があり、比較的小規模な業者でも1週間に最大40トンのタイヤを合法的に輸出できます。しかし、実際にはこの上限を超えて取引を行う業者が多く、輸出されたタイヤが違法施設へ流れていることは業界内でも公然の秘密となっています。

この問題に対し、環境活動家のジョージア・エリオット=スミス氏は、英国政府に対し廃タイヤを「有害廃棄物」と再分類するよう求めています。オーストラリアでは2021年に廃タイヤの輸出を全面禁止し、その結果、すべての輸出されたタイヤが適正な施設ではなく違法な処理場へ流れていたことが明らかになりました。英国でも同様の対応が求められるべきかもしれません。

語源の紹介

furnace(炉) 」の語源は、インドヨーロッパ祖語の「gwher-(加熱する、温める)」に由来します。この語源が反映された英単語は、熱や温度に関連する意味を持つことが多いです。「furnace」という単語そのものは、「gwher-」に由来するラテン語「fornax(炉)」から派生しています。

例文としては、「炉は燃料を効率的に燃やす(A furnace burns fuel efficiently.)」が挙げられます。この単語は「火」や「熱」に関連する意味を保持しています。

同じ語源を共有する単語

furnace(炉) 」と同じ語源を持つ単語には、「 thermal(熱の) 」があります。この単語も「*gwher-(加熱する)」を起源としています。

例えば、「thermal energy(熱エネルギー)」という表現や、「This material provides excellent thermal insulation.(この素材は優れた断熱性を提供する。)」という文脈でよく使われます。「thermal」は、「therm(熱)」+「-al(形容詞化)」から成り立つ単語です。この組み合わせが「熱に関する」という意味を形成しています。

さいごに

みなさんは「 furnace(炉) 」の意味や語源について理解できましたか?この単語は、熱やエネルギーに関連する重要なキーワードです。また、「 gwher- 」という語源を共有する単語も多く、これらを学ぶことで英語の語彙力がさらに広がります。

それでは、今日はこの辺で失礼します。また次回お会いしましょう!

参考文献

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