はじめに
こんにちは。今日は、「苦悩」や「困難」を意味する英単語「distress(苦悩)」についてご紹介します。この言葉は、感情的または物理的に困難な状況を表します。そしてこの単語が使われた、米国のインフルエンサーがオーストラリアで赤ちゃんウォンバットを母親から引き離した動画を投稿し、非難が殺到。ビザ取り消しの可能性も取り沙汰された中、自ら出国したと報じたニュースも紹介します。
distressの意味
「distress(苦悩)」とは、身体的・精神的苦痛や困難な状況を表します。例文として、「彼女の悲惨な状況は私を大いに悲しませた(Her distress deeply saddened me.)」や、「子供たちは助けを求める声で泣いていた(The children were crying in distress.)」といった使い方があります。
実際に使用されている場面
さて、英単語「distress(苦悩)」が使われているニュース記事を見てみましょう。BBCが2025年3月14日に報じた「US influencer who snatched baby wombat has left Australia」という記事に登場しました。
Sam Jones, a US influencer who briefly snatched a baby wombat from its distressed mother, and uploaded the footage to social media has left Australia.
日本語訳:米国のインフルエンサーSam Jonesは、一時的に苦悩している母ウォンバットから赤ちゃんを奪い、その映像をSNSにアップロードしてオーストラリアを後にしました。
この記事では下記のことが書かれています。アメリカ人インフルエンサーのサム・ジョーンズ氏が、オーストラリア滞在中に野生の赤ちゃんウォンバットを母親から引き離し、その様子を撮影してSNSに投稿したことで大きな波紋を呼びました。動画では、道路脇にいたウォンバットの親子に近づき、赤ちゃんを笑いながら抱き上げて逃げるような行為が映されており、母親ウォンバットが明らかに動揺している様子が確認されました。その後、赤ちゃんウォンバットが鳴き声をあげる姿も映っており、ジョーンズさんは動画の最後で赤ちゃんを自然に戻しています。
この行動に対し、オーストラリア国内では強い批判の声が上がりました。アンソニー・アルバニージ首相は「暴挙だ」と発言し、ペニー・ウォン外相も「ひどい映像」と非難しました。また、野党のピーター・ダットン党首も「残酷な行為」だとして彼女の出国に安堵を示しました。さらに、30,000人以上の署名を集めたジョーンズさんの国外退去を求めるオンライン請願も立ち上がりました。
トニー・バーク内務大臣はビザの取り消しを検討中であると述べていましたが、最終的にジョーンズさんは自身の判断でオーストラリアを離れたと報じられています。バーク大臣は「赤ちゃんウォンバットにとって今が最高の時代だ」と、短いながらも皮肉を込めた声明を発表しました。
ジョーンズさんは「アウトドア愛好家でハンター」としてInstagramで自身を紹介しており、フォロワーは10万人近くいますが、現在アカウントは非公開となり、問題の投稿も削除されています。ジョーンズさんは後に「赤ちゃんは1分ほど丁寧に抱いただけで、すぐに母親のもとに戻した」と説明していましたが、野生動物の保護団体や専門家は、こうした行為が動物にとって非常にストレスであると指摘しました。ウォンバット保護団体は「SNSの『いいね』のための行為であり、信じられない」とし、世界動物保護団体の代表も「巨大な捕食者にさらわれたと感じたに違いない」と語っています。
ウォンバットはオーストラリアの法律で保護されている動物であり、特に母子の絆が強く、無理に引き離すことは深刻な影響を与える恐れがあるとされています。
その後、新たに開設されたと見られるTikTokアカウントで、ジョーンズさんは「現在の誹謗中傷は耐え難い」と述べ、数百件に及ぶ殺害予告があったことも明かしましたが、多くの人々は依然として彼女の行為を非難しています。
この記事では、母ウォンバットが赤ちゃんを失った苦痛を感じている状況が描かれており、「distressed mother」としてその心情が表現されています。
distressの語源
「distress(苦悩)」の語源は、「dis-(離れて)」+「stringere(引き締める、押し付ける)」に由来します。この組み合わせは、「引き締められたり押さえつけられることで引き起こされる困難」を意味します。
同じ語源を共有する単語
「dis-(離れて)」という部分を共有する単語には、英語において多くの日常的かつ重要な表現が含まれます。その中でも「disappear(消える)」は、「dis-(離れて)」と「appear(現れる)」の組み合わせによって、「現れることから離れる」、すなわち「消える」という意味を持つようになりました。この単語は、「太陽が雲の後ろに消えた(The sun disappeared behind the clouds.)」などの場面で使用されます。また、「dismiss(解雇する)」は、「dis-(離れて)」と「mittere(送る)」から成り立っています。「送る」という意味の「mittere」と結びつくことで「離れて送る」、つまり「解雇する」や「却下する」というニュアンスが生まれます。この単語は、「彼は怠惰なため解雇された(He was dismissed for being lazy.)」という文脈で使われることが多いです。
一方、「stringere(引き締める)」という部分を共有する単語は、力学的な制約や心理的な緊張を表現する語が多くあります。「constriction(制約)」は、ラテン語の「con-(共に)」と「stringere(引き締める)」の組み合わせによって生まれ、「締め付けられて自由が制約される」という意味を形成します。例えば、「その事件は彼の自由を制約した(The incident caused a constriction on his freedom.)」という文で使用されます。また、「restriction(制限)」も似た語源を持ち、「再び引き締める」という意味から「制限する」という概念が派生しました。「私たちは旅行の制限に直面している(We are facing travel restrictions.)」というように使われます。最後に、「stress(ストレス)」は「stringere」を起源とする単語であり、日常生活で頻繁に使用される言葉の一つです。「圧力」や「緊張」という基本的な概念を表し、「試験前には多くの学生がストレスを感じる(Students often feel stress before exams.)」といった文脈で使われます。この単語は物理的な重圧や心理的な負担を指すため、幅広い用途で利用されています。
さいごに
みなさんは「distress(苦悩)」の意味や語源について理解できましたか?この単語は、心理的または物理的苦痛を表す重要な英単語です。さらに「dis-」や「stringere」に関連する単語を知ることで、英語の語彙がさらに広がるかもしれません。
それでは今日はこの辺で。また次回お会いしましょう!ではでは〜