はじめに
こんにちは。今回は、「危機や問題を防ぐ」ことを意味する英単語「 avert(回避する) 」についてご紹介します。この単語は外交や安全保障の文脈で特によく登場します。そして、この単語が実際に使われたイランの最高指導者ハメネイ師は、トランプ大統領からの核交渉を提案する書簡を受け取ったことを確認しつつも、米国との対話に強く否定的な姿勢を示したニュースも紹介します。
avertの意味
「 avert(回避する) 」とは、「問題や危険を避ける、予防する」という意味を持ちます。例えば、「彼は車の衝突を防ぐためにハンドルを切った(He averted a car collision by steering away.)」や、「政府は経済危機を回避する措置を講じた(The government took measures to avert an economic crisis.)」といった文脈で用いられます。
実際に使用されている場面
さて、「 avert(回避する) 」が使われている具体的な例を見てみましょう。BBCの記事では、以下のような文が書かれていました。
Last week, Trump said the letter proposed talks on a deal that would prevent Iran acquiring nuclear weapons and avert possible military action.
日本語訳: 先週、トランプ氏は、その手紙がイランによる核兵器取得の防止と、軍事行動の回避を目的とした交渉を提案する内容だと述べました。
この記事では下記のことが書かれています。イランの最高指導者アリ・ハメネイ師は、アメリカとの核問題に関する交渉を拒否する姿勢を改めて示しました。これは、トランプ大統領が書簡を通じてイランに交渉を提案したことを受けての発言です。書簡はアラブ首長国連邦(UAE)の高官を通じて届けられたとされ、トランプ氏はこの中でイランが核兵器を取得するのを防ぐために、軍事行動ではなく交渉を望んでいると述べていたとされています。
しかし、ハメネイ師はこの書簡自体を見ていないとしつつも、「これは世論操作のための欺瞞に過ぎない」として交渉に否定的な見解を示しました。特に、2015年に結ばれた核合意をトランプ氏が一方的に破棄した過去を指摘し、「約束を守らない相手と交渉しても意味がない」と強調しました。
また、ハメネイ師はイランが戦争を望んでいないことを明言した上で、もしアメリカやその同盟国がイランの核施設を攻撃すれば、「決定的かつ確実な報復を行う」と警告しました。同時に、イランは核兵器の保有自体には関心がないとも改めて述べました。
このような緊張感が高まる中でも、イランの国連代表部は「もし核プログラムの軍事利用に関する懸念が対話の目的であるなら、交渉の余地はある」とやや柔軟な姿勢も見せています。また、イギリス、フランス、ドイツとの核協議は継続中であり、中国、ロシア、イランの三カ国による会談も予定されています。
一方で、国際原子力機関(IAEA)は、イランが60%まで濃縮されたウランを約275kg保有しており、これは理論上、90%まで濃縮すれば最大6発の核兵器を製造可能な量に相当すると報告しています。この事実は国際社会にとって大きな懸念材料となっています。
イスラエルもまた、イランの核武装を容認しない立場を明確にしており、必要であれば核施設への攻撃も辞さないと警告しています。過去にはイランの核関連施設を攻撃したこともあり、中東地域の緊張は依然として続いています。
トランプ氏は最近のテレビインタビューで「軍事行動よりも交渉を望む」と語り、イラン国民への敵意はないと強調しましたが、書簡の詳細についてホワイトハウスはコメントを控えています。
この記事は、イランと米国の間での外交的駆け引きの一環を描写しています。「avert」という単語はここで、「軍事行動を回避する」という意味で使用されています。
avertの語源の紹介
「 avert(回避する) 」の語源は、ラテン語の ab-(離れて、遠く) と vertere(回す) に由来します。「危険や視線を『離れて回す』」という発想から、この単語の意味が形成されました。
たとえば、次の例文でそのニュアンスをつかむことができます。「彼は悲劇を回避しようとした(He sought to avert a tragedy.)」では、危険な状況を「遠ざける」という動きが伝わります。
同じ語源を共有する単語
「 ab(離れて、遠く)」を共有する単語には「absent(欠席している、不在の)」と「abstain(控える、自制する)」と「abnormal(異常な、通常とは異なる)」があります。「absent(欠席している、不在の)」は「ab(離れて)」と「esse(存在する)」から構成されており、「存在から離れている」という概念に基づいています。具体的には、「彼は今日学校を欠席している(He is absent from school today.)」という文脈で使われることが多いです。「abstain(控える、自制する)」は「ab(離れて)」と「tenere(保つ)」が組み合わさり、「特定の行動を控える」という意味を形成しています。「彼女はアルコールを控えている(She abstains from alcohol.)」という例文が良い例です「abnormal(異常な、通常とは異なる)」は、「ab(離れて)」と「normal(通常の)」の組み合わせで、「通常から離れている」というニュアンスを持ちます。「その現象は異常だ(The phenomenon is abnormal.)」というように、日常的に使用される表現です。
一方、「 vertere(回す)」を共有する単語には「reverse(反転する)」や「invert(逆にする)」があります。例えば、「reverse」の場合、re-(反対)+vertere(回す) から構成され、「反対の方向に回す」という意味が生まれます。「彼は車を後退させた(He reversed the car.)」という例文が使用できます。また、「invert(逆にする)」はin-(内側に) +「vertere(回す)」の組み合わせで「内側に向けて回す」というニュアンスを含みます。「彼はコップを逆さまに置いた(He inverted the cup.)」も良い例です。
さいごに
みなさん、「 avert(回避する) 」の意味や語源について理解できましたか?この単語は、危険や視線を回避する動作を表すだけでなく、その語源から他の単語との関連性を知ることで、英語語彙の奥深さを感じられるはずです。
それでは、次回もお楽しみに。さようなら!