はじめに
こんにちは。今日は、ビジネスシーンでよく聞かれる英単語「attrition(消耗)」について見ていきましょう。この単語は、特に人員削減やコスト削減に関連して使用されます。そしてこの単語が実際に使われた、シンガポール最大の銀行のDBSがAIの導入による4,000人の人員削減を発表したニュースも紹介します。
attritionの意味
「attrition」とは、企業や組織が自然な退職や辞職を通じて人員を減少させることを意味します。これは強制的な解雇ではなく、自然な流れで人員が減ることを指します。例えば、「The company aims to reduce its workforce through natural attrition(その会社は自然減によって人員を減らすことを目指している)」や、「Attrition is a common strategy during economic downturns(消耗は経済低迷時に一般的な戦略です)」などのように使われます。
実際に使用されている場面
さて、英単語「attrition」が使われているニュース記事を紹介しましょう。BBCが2025年2月26日に報じたニュース「Major Asia bank to cut 4,000 roles as AI replaces humans」の記事の中に出てきました。
Singapore’s biggest bank, DBS, says it expects to cut about 4,000 roles over the next three years as artificial intelligence (AI) takes on more work currently done by humans. The move will affect temporary and contract staff, a bank spokesperson said, with the reduction in the workforce coming from “natural attrition” as projects are completed.
日本語訳: シンガポール最大の銀行であるDBSは、現在人間が行っている業務を人工知能(AI)が担うようになるため、今後3年間で約4,000人の役割を削減すると予想していると述べた。同行の広報担当者によると、今回の措置は臨時職員や契約社員に影響を及ぼし、プロジェクト完了に伴う「自然減」が人員削減につながるという。
この記事では下記のことが書かれています。シンガポール最大の銀行であるDBSは、人工知能(AI)の活用により、今後3年間で約4,000人の一時雇用や契約社員の削減を進める方針を明らかにしました。この削減は、プロジェクトの完了に伴う「自然減」によるもので、正社員には影響がないとしています。現在、DBSには8,000~9,000人の一時雇用・契約社員が在籍しており、銀行全体の従業員数は約41,000人です。
この決定により、同銀行はAIが銀行業務に与える影響について具体的な数字を示した初の大手銀行の一つとなりました。DBSは、AIを活用した業務効率化に長年取り組んでおり、現在は350の業務において800以上のAIモデルを導入しているとのことです。2025年までには、これらのAIの経済的な貢献が10億シンガポールドル(約745億円)を超えると見込んでいます。また、削減される雇用がある一方で、新たに1,000人のAI関連の職種を創出する予定もあるとのことです。
DBSのCEOであるピユシュ・グプタ氏は、このAI活用戦略を主導してきましたが、彼は3月末で退任し、副CEOのタン・スー・シャン氏が後任となります。
AIの進化は世界的な雇用市場にも大きな影響を与えており、国際通貨基金(IMF)は2024年の報告で、AIの普及により世界の雇用の約40%が影響を受けると予測しました。IMFのマネージング・ディレクターであるクリスタリナ・ゲオルギエバ氏は、AIの進展が経済格差を拡大させる可能性があると指摘しています。一方で、イングランド銀行のアンドリュー・ベイリー総裁は、AIが「大量の雇用を破壊するものではなく、人間が新たな技術と共存できる」との見解を示しています。
この記事では、「attrition」はプロジェクトが完了するにつれて自然な退職や辞職によって人員が減少することを指しています。
attritionの語源
「attrition」の語源は、ラテン語の「ad(向けて)」と「terere(擦る)」に由来しています。これにより、「摩擦によって減少する」という意味が形成されました。
同じ語源を共有する単語
「ad(向けて)」と「terere(擦る)」は、他の単語でも使用されています。
「ad(向けて)」という語源を共有する単語には、「adhere(付着する)」があります。この単語は「ad(向けて)」と「haerere(付着する)」の組み合わせで、「何かに向かって付着する」という意味を持っています。例えば、「The label adheres to the bottle(ラベルはボトルに付着している)」という文で使われます。この文では、ラベルがボトルにしっかりと付いていることを示しています。
「terere(擦る)」という語源を共有する単語には、「contrition(悔恨)」や「detriment(損害)」があります。「contrition」は「com(共に)」と「terere(擦る)」の組み合わせで、「心を擦るような悔恨の念」という意味になります。例えば、「He showed contrition for his actions(彼は自分の行動を悔いている)」という文で使われ、彼が自分の行動に対して深い後悔の念を抱いていることを示しています。また、「detriment」は「de(下に)」と「terere(擦る)」の組み合わせで、「下に擦ることによる損害」という意味があります。例えば、「Smoking is a detriment to health(喫煙は健康に害がある)」のように使われ、喫煙が健康に対して悪影響を与えることを示しています。
さいごに
みなさんは「attrition」の意味や語源について理解できましたか?この単語は、「自然な退職や辞職による人員の減少」という意味もあります。また、「ad(向けて)」+「terere(擦る)」という語源を共有する単語もいくつかあります。
今回紹介したDBS銀行のニュースは、AI導入による人員削減がどのように進行しているかを示しています。これからのビジネス環境では、こういった動きが増えるかもしれませんね。
それでは、今日はこの辺で失礼します。ではでは〜